毎日の歯みがきに加えて、「フロスや歯間ブラシを使ったほうがいい」と聞いたことはあっても、「どちらを使えばいいの?」「両方必要?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
フロスと歯間ブラシは、どちらも大切な歯間ケア用品ですが、役割や適した使い方は異なります。
この記事では、歯科医師目線でそれぞれの違いや使い分けの目安について分かりやすく解説します。
1. フロスと歯間ブラシの基本的な違い
フロスと歯間ブラシは、どちらも歯ブラシでは落としきれない汚れを除去するための補助清掃用具ですが、使う場所と目的が異なります。
・デンタルフロスとは
デンタルフロスは、歯と歯が接している狭い隙間に通して使う糸状の清掃器具です。
歯の側面に付着したプラークを清掃するのに役立ちます。
・歯間ブラシとは
歯間ブラシは、歯と歯のすき間が比較的広い部分に使用するブラシ状の清掃器具です。
歯の側面や歯ぐきに近い部分のプラークを清掃するのに役立ちます。
2. フロスと歯間ブラシは両方必要?基本的には、どちらか一方を正しく使えていれば問題ないケースも多いです。
歯と歯のすき間が狭い方はフロス、すき間が広い方は歯間ブラシが適しています。
ただし、次のような場合はフロスと歯間ブラシの併用が理想的です。
・部位によって歯と歯のすき間の広さが異なる場合
・歯周病の治療中、または治療後で歯ぐきのケアが重要な場合
・矯正装置やブリッジなどがあり、通常の歯みがきだけでは清掃しにくい部分がある場合
お口の状態によって必要なケアは異なるため、歯科医院で自分に合った使い分けを確認することが大切です。
3.使い分けの目安
フロスと歯間ブラシは、「どちらが良い・悪い」ではなく、お口の状態に合っているかどうかが大切です。
以下を目安に選びましょう。
●フロスがおすすめな人
・歯並びが比較的きれい
・歯と歯がぴったり接している
・歯と歯の間の虫歯予防を重視したい
→狭い隙間のプラーク除去に向いています。
●歯間ブラシがおすすめな人
・歯ぐきが下がってきたと感じる
・歯周病が気になる・指摘されたことがある
・ブリッジやインプラントが入っている
→歯ぐき周りの清掃・歯周病予防に効果的です。
●両方使ったほうがいい人
・歯科医院で「歯間の広さが場所によって違う」と言われた
・大人になってから歯ぐきの変化を感じている
→部位ごとにフロスと歯間ブラシを使い分けるケアが理想的です。
4.よくある間違い・注意点
・歯間ブラシを無理に入れるのはNG
歯間ブラシは、歯と歯のすき間に「自然に入るサイズ」を使うことが基本です。
無理に押し込むと、歯ぐきを傷つけたり、歯ぐき下がりを進行させてしまう恐れがあります。
スッと入らない場合は、歯間ブラシではなくフロスを選びましょう。
・フロスを強く動かすのはNG
フロスは、強い力でゴシゴシ動かせば汚れが落ちるわけではありません。
歯と歯の間にフロスを入れる際は、接触点を無理なく通すように前後にやさしく動かし、入った後は歯の側面に沿わせて上下に動かします。
勢いよくフロスを入れたり、歯ぐきに強く当てたりすると、歯ぐきを傷つける原因になることがあります。
「入れるときはやさしく、歯面に沿わせて丁寧に」がポイントです。
・サイズ・使い方を間違えると逆効果になることも
歯間ブラシのサイズが合っていなかったり、フロスの動かし方が誤っていると、十分な清掃効果が得られません。
「これで合っているのかな?」と不安な場合は、歯科医院で自分に合ったサイズや使い方を確認することが大切です。
5. 効果的な使う順番と頻度
・基本の順番:歯ブラシ→フロスor歯間ブラシ
基本は、歯ブラシで全体をみがいたあとに、フロスや歯間ブラシを使う順番がおすすめです。
歯ブラシで大きな汚れを落とした後に歯間ケアを行うことで、歯と歯の間のプラークを効率よく除去できます。
・頻度は1日1回、夜がおすすめ
フロスや歯間ブラシは、まずは1日1回を目安に取り入れることがおすすめです。
特に夜は、就寝中に細菌が増えやすいため、寝る前のケアが理想的です。
・毎日できない場合の現実的な考え方
忙しくて毎日できない場合でも、「できない日があってもやめないこと」が大切です。
ただし、フロスや歯間ブラシは一時的に行うよりも、毎日の習慣として取り入れることが大切です。
「すべてのケアを完璧にしなければ」と考えすぎず、まずは1日1回を目標に、継続できる方法を見つけていきましょう。
6. 歯科医院で相談するメリット
・自分に合ったサイズ・種類が分かる
歯と歯のすき間の広さや歯ぐきの状態は、人によって異なります。
歯科医院では、お口の状態を確認したうえで、自分に合ったフロスや歯間ブラシのサイズ・種類を提案してもらえます。
・部位別の使い分け指導が受けられる
「前歯はフロス、奥歯は歯間ブラシ」など、部位ごとの適切な使い分けを具体的に教えてもらえるのも大きなメリットです。
自己流になりやすい歯間ケアも、正しい方法を知ることで効果が高まります。
・無理なく続けられるケアにつながる
自分に合った道具と使い方が分かることで、負担なく続けられるケア習慣が身につきます。
結果として、虫歯や歯周病の予防につながり、長く健康なお口を保つことができます。
7. 当院の予防歯科について
当院では、虫歯や歯周病になってから治療するのではなく、トラブルを未然に防ぐ「予防歯科」を大切にしています。
毎日のセルフケアと歯科医院での専門的なケアを組み合わせることで、お口の健康を長く保つことができます。
●当院が予防歯科で大切にしていること
私たちは、虫歯や歯周病を「治す」よりも、できるだけ発症させないことを重視しています。
そのため、患者さま一人ひとりのお口の状態や生活習慣に合わせた、無理のないケア方法の提案を心がけています。
●プロによるチェックと指導
歯ぐきの状態や歯と歯のすき間の広さは、年齢やお口の状況によって変化します。
当院では、そうした変化を丁寧に確認しながら、
・フロス・歯間ブラシの種類やサイズ
・正しい使い方
・必要に応じた部位別の使い分け
などを具体的に分かりやすく指導しています。
●定期的なメンテナンスの重要性
ご自宅でのセルフケアに加えて、歯科医院での専門的なケアを取り入れることで、予防効果はより高まります。
定期検診では、虫歯や歯周病の早期発見はもちろん、歯ぐきや歯間の変化にもいち早く気づくことができます。
8. まとめ
フロスと歯間ブラシは、どちらか一方だけで十分な場合もあれば、部位によって使い分けたほうがよいケースもあります。
大切なのは、「正しい道具を、正しい方法で、無理なく続けること」です。
ご自身のお口の状態に合ったケア方法を知るためにも、
フロスや歯間ブラシの選び方・使い方に迷った際は、ぜひ歯科医院でご相談ください。
毎日のセルフケアと定期的な歯科医院での専門的なケアを組み合わせることで、虫歯や歯周病の予防につながります。
▽河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!
「毎日きちんと歯みがきしているのに、虫歯や歯周病を繰り返してしまう」というご相談を多く受けます。
そうした方のお口を拝見すると、歯ブラシだけでは届かない歯と歯の間のケアが不足しているケースが少なくありません。
一方で、フロスや歯間ブラシを使っていても、サイズや使い方が合っておらず、本来の効果が十分に発揮されていないこともあります。
隣の歯と接している部分をコンタクトと言います、この部分は良く虫歯ができやすいところでそれをコンタクトカリエス(歯と歯の間の虫歯のこと)と言います。
これを未然に防ぐためにフロスは有効です。
しかし、既に虫歯で詰め物をしているや冠せをしている場合にはコンタクトが人工物になってしまってますので、フロスの効果はあまりありません、詰め物に引っかかって外してしまうリスクも出てきます。
そのような場合は歯間ブラシが良いと思います。
虫歯のない天然歯のままの状態であればフロスを勧めます。
歯間の状態は、年齢や歯周病の進行、治療歴によって少しずつ変化していくため、「以前は合っていたケア」が今も最適とは限りません。
当院では、定期的なチェックを通して、その時々のお口の状態に合った歯間ケアを一緒に見直すことを大切にしています。
毎日のケアに少し工夫を加えるだけで、将来のお口のトラブルを防ぐことにつながりますので、気になることがあればぜひ気軽にご相談ください。
河原町歯科・矯正歯科クリニック

~著者~
院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと
■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士