Q.インプラント手術中の痛みは?
インプラント手術は主に局所麻酔を用いて行われるため、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。感じる痛みとしては、麻酔の注射時や抜糸時の痛み程度です。局所麻酔を行う際も表面麻酔を利用することでより軽減されます。
ただし、インプラント治療では歯茎を切開・縫合するため、麻酔が切れた後に痛みを感じることがあることも事実。手術方法により痛みの程度が異なるため、以下の点について確認しましょう!
●骨を移植する方法
必要な部分の顎の骨が不足している場合には、骨移植が必要となります。
骨移植には、自身の骨を移植する方法と人工の骨を移植する方法の2種類があります。
自身の骨を移植する場合、インプラントを埋め込む箇所以外に、骨を取り出すための別の箇所も切開しなければなりません。そのため、痛みを感じる部位は2カ所に増えることになります。
一般的に、インプラントを埋め込む場所よりも、骨を採取した場所のほうが痛みが強く感じられることが多いです。
人工の骨を使用する場合には、自信の骨を切開する必要がないため、痛みはインプラントを埋め込む箇所に限られることがほとんどです。しかし、どちらの方法を選ぶかは、患者さまの状態や担当医の判断によって異なりますので、まずは当院の専門医と相談しながら決めていきましょう!
●歯茎を移植する方法
インプラントを埋め込むための歯茎の量が不足している場合には、歯茎の移植が必要になることがあります。この手法も骨移植と同様に、痛みを感じる箇所が2カ所に増えます。一つはインプラントを埋め込む場所で、もう一つは移植用の歯茎を採取した箇所になります。
一般的には、歯茎の移植手術では、歯茎を採取した場所の方がインプラントを埋め込む場所よりも痛みを感じやすいとされており、歯茎の採取は通常、口腔内の他の部位から行われますが、採取部位は術後に痛みや不快感を伴うことが多いです。
痛みの管理や回復期間については患者さまによって異なりますので、適切な対処法については、当院の担当医と十分に相談したうえで疼痛管理をしていきます。手術前の準備や術後のケアも含めて、納得のいく形で治療を進めていくことが重要です!
●骨造成手術
骨造成手術には、サイナスリフト、ソケットリフト、そしてGBR(Guided Bone Regeneration)などの方法があります。これらの手術は、インプラント治療に必要な顎の骨の厚みや高さを補うために行われます。
サイナスリフト、ソケットリフトは特に上顎の骨が不足している場合に行われ、上顎洞(サイナス)の下に骨を追加する手術です。サイナスリフトは主にご自身の残存骨の高さが3mm以内の場合の手技で、ソケットリフトは5mm以上残存骨が残っている場合に主に選択される手技で、両方共上顎洞内に骨造成をする方法です。GBRは、自己骨や人工骨を使い、骨の再生を促進する手法です。
これらの骨造成手術は、インプラント手術そのものよりも術後の痛みが強い傾向があります。また、手術後に腫れや不快感を伴うことも少なくありません。術後の痛みや腫れは個人差があり、手術の規模や個々の回復力、さらにアフターケアの方法などによっても異なります。
術後の痛みを和らげるためには、痛み止めやアイシングを適切に行うことが重要であるため、担当医に相談し、適切な対処法や回復期間について理解を深めておくことが大切です!
●無切開無痛手術
フラップレスサージェリーと呼ばれるこの方法は、メスを使用せずにインプラントを埋め込む手術法です。メスを使用しないため、組織の損傷が少なく、術後の痛みや腫れも比較的軽微で済むことが多いです。
ただし、この方法が全てのケースに適用できるわけではありません。
患者の顎骨の状態やインプラントの埋め込み位置、その他の個別の条件によっては、フラップレスサージェリーが適さない場合もあります。そのため、事前に担当医による詳細な診察・診断を行い、最適な治療法を選択することが必要です!
無切開無痛手術の最大の利点は、侵襲が少ないことにより、早期の回復が見込める点です。
しかし、適応範囲が限定されているため、まずは当院の担当医にご相談ください!
【まとめ】河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!
インプラント埋入は術後の痛みはあまりない場合がほとんどです。骨移植などを行った時もソケットリフトの場合はインプラント埋入と同じと考えて頂けますが、サイナスリフト、広い範囲のGBRは腫れる場合が多いです。人工骨移植の場合は移植した人工骨に血液からの骨を作る細胞が入る必要があり、出血を促すように切開を加えますので、腫れやすいと言えます。しかし、その腫れは炎症を起こして膿が貯まって腫れているのと違い、自分の体を治すために血が貯まったものですので、腫れていても痛みが強くない場合がほとんどで、投薬する抗生剤と頓服の服用で十分抑える事が出来ます。
無切開無痛手術はCTにてインプラント埋入位置を決めて、その位置に入るようにサージカルガイドを作製し埋入時に口腔内に入れてオペをします。前方歯の埋入には適していますが、お口の開きにくい方の奥歯などには逆にやりにくい場合もあります。
インプラントは健康寿命を延ばすために、大変有効な手技であることは既に熟知されております。インプラントを埋入するために各種の手技が考えられており、インプラント自体も日進月歩です。心配なさらずにどんどん相談頂ければと思います。
河原町歯科・矯正歯科クリニック
~著者~
院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと
■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士