インプラント清掃の重要性とブラシの正しい使い方

インプラント治療は、失った歯を補うための非常に効果的な方法ですが、しかし、その後のケアが不十分だと、インプラント周辺のトラブルや感染症が発生することがあります。特に、ブラシや清掃の方法は多くの人が見落としがちなポイントです。

こちらのページではインプラントの清掃におけるブラシの重要性や正しい使い方、さらに適切なケアによって得られるメリットについて詳しく解説します。 

1.インプラントと口腔衛生の重要性

〇インプラントの構造と役割
インプラントは、人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上にアバットメントと呼ばれる部品を取り付け、その上に人工歯を装着する仕組みとなっています。実はこの構造は天然の歯と非常に似ており、見た目や機能の点で優れた選択肢です。しかし、他の歯と同様にインプラントも適切な清掃が必要となります。

〇インプラント周辺の問題点
インプラント周辺には「インプラント周囲炎」という、周囲の組織が炎症を起こす病気が発生することがあります。これは主にプラークやバイ菌が原因で、適切な清掃が行われないと、骨吸収やインプラントの喪失に繋がる恐れがあります。

2.インプラントの清掃とブラシの選び方

〇インプラント清掃の基本
インプラントの清掃では、ブラッシングの他にデンタルフロスやマウスウォッシュなどの補助アイテムを活用するとより清潔に衛生状況を保つことができます。これらのアイテムはブラシが届きにくい場所のプラークを除去するために役立ちます。

〇ブラシの種類とその特徴
インプラント専用のブラシは、通常の歯ブラシとは異なる設計がされています。たくさんの種類がありますので「柔らかい毛のブラシ、小型のヘッド、角度が調整できるブラシ」のような特徴を持つものを選ぶと良いでしょう。

3.正しいブラッシング手順

〇インプラント専用ブラシの使い方
インプラント清掃は、正しい手順を踏むことが重要です。以下のステップを参考にしてください。

①準備:まず、口をゆすぎ、食べ物の残りやプラークを除去します。
これにより、次のステップに集中できます。

②ブラシを持つ:インプラント専用ブラシを持ち、毛の部分が歯茎の境目に当たるようにします。
約45度の角度で当てることがポイントです。

③優しくブラッシング:毛先を使って、歯と歯茎のラインに沿って小刻みに動かしましょう。
力を入れずに、優しく磨くことが大切です。

④全体をカバー:各歯ごとに、外側、内側、そして噛む面を丁寧に磨きます。
インプラントの周囲は特に注意して行います。

⑤歯間ブラシの使用:ブラシでの清掃後、インプラント周囲の歯間の隙間に合ったサイズの歯間ブラシを選び、歯と歯の間やインプラントの周囲を清掃します。これにより、より効果的にプラークを除去できます。

〇ブラシの頻度
理想的な清掃頻度は、1日2回以上が推奨されています。
朝と晩はもちろん、食後に軽くブラッシングすることも効果的で、清掃を怠ることで虫歯や歯周病のリスクが高まりますので、習慣化が重要です。

4.インプラント清掃のメリット

〇健康な歯と歯茎の維持
正しい清掃方法を実践することで、インプラント周囲の健康が保たれ、炎症や感染リスクの低下、さらに骨吸収の予防にも繋がります。心地よい口腔内は、日常生活の質の向上を期待できます。

〇インプラントの寿命を延ばす
清掃を徹底することで、インプラント自体の寿命も延びるため、インプラントを適切に管理することで、長期間にわたって機能し続けることができます。

〇自信を持った笑顔を実現
口腔内の健康が保たれることで、自信を持って大きく笑うことができるようになります。
見た目にも影響し、社交的な場面でも自信を持って振る舞えるでしょう!

河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!

インプラントは食事などの生活のQoLをあげるのに役立ち、残っている歯の寿命を延ばす効果も実証されております。しかし、そのインプラント自体の寿命を伸ばすことも大変重要です。放置していれば、無くなったご自分の歯と同じ運命をたどります。インプラントの周囲から歯周病菌をブラッシングにて取り除くことで、インプラント周囲炎の予防となります。口腔内細菌は歯周病菌に限らず、あっという間に増殖しますので、一日数回の歯ブラシ習慣を継続することがインプラントの予後、ひいては健康寿命のために重要です!

河原町歯科・矯正歯科クリニック

~著者~

院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと

■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士