現代のインプラント技術は、高度な材料と精密な手術手法が確立されているため多くの場合、15年から25年以上の安定的な使用を期待できます。しかし、実際の使用寿命に関しては患者様個々の状況に依存し、その幅は大きく変動するため今回はインプラントの耐久性について解説していきます。
▽耐久性に影響を及ぼす要素
1. 歯科医師の技術
インプラント手術の成功率は術者の技術に大きく依存するとされています。
高い技術を持つ歯科医師は、骨の状態を正確に評価し、最適なサイズと位置にインプラントを配置する能力を有しているため、インプラントが最適に骨と結合し、長期間にわたって安定する基盤を提供することが可能です。また、複雑な症例を扱う能力があるかどうかも、選定の際の重要なポイントになります。
2. インプラントの材質
インプラント材のチタンとジルコニアは、その生体適合性とその高い耐久性から多くの患者様に選ばれています。チタンは骨と迅速に結合する性質があり、ジルコニアは審美性を求める高いニーズに応えます。材質の選択は、患者様の健康状態や希望する審美的なビジョンに併せて歯科医と相談の上で決定されます。
3. 患者の口腔衛生
インプラント周囲の健康を維持するためには、日常的な口腔衛生の維持が必要不可欠です。歯ブラシだけでなく、デンタルフロスやインターデンタルブラシを使って、プラークや食べ物の残りがインプラント周囲にたまらないようにすることが重要です。また、歯科医師による専用のクリーニングは、インプラントの長期的な健康をサポートします。
4. 骨の質と量
骨の質と量は、インプラントが成功するか否かを決定する最も基本的な要因のひとつです。骨が十分に強く、新しい骨が成長する能力がある場合、インプラントもよりしっかりと固定されます。必要であれば、骨移植手術やサイナスリフト手術で骨の強度を補強することも可能です。
5. 喫煙習慣や全身の健康状態
喫煙は血流を制限し、歯周病の発症リスクを高めるため、この要因によりインプラントと骨の結合が弱まる可能性があります。また、糖尿病のコントロールが不十分な患者様は感染リスクが高く、インプラント周囲炎を引き起こしやすいことが研究で示されています。
▽インプラントを長持ちさせるためのポイント
・定期的な検診
定期的な歯科検診やプロフェッショナルクリーニングは、初期の早い段階で問題を見つけ、対策を取ることができるためとても重要です。少なくとも半年に一度の検診を推奨しております。
・口腔衛生の徹底
インプラント周囲をきれいに保つことは、感染を防ぎ、インプラントの寿命を延ばすための鍵です。口腔衛生を維持するためには専用の洗口液やデンタルフロスの使用も有効です。
・禁煙
喫煙をやめることで、全身の健康が改善されるのみならず、インプラントの成功率、耐久性も向上します。歯科医院で提供される禁煙支援プログラムなどを活用するのも一つの手です。
インプラントは自然歯に似た高い審美性を提供し、生活の質を大幅に向上させるとても有効的な選択肢である一方、長期にわたる適切なケアと口腔衛生の維持が不可欠です。抑えるべきポイントを理解し、日常生活に取り入れることができれば、満足のいく結果と長期的な安心感を得ることができるでしょう!
▽河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!
インプラント治療は口腔内に残った残存歯の延命や食事のQOLを高める効果が実証されており、ひいては健康寿命を延ばすことのできる優れた歯科治療であることがわかっています。
しかし、口腔内で機能し始めると歯と同じです。噛む力や歯ぎしりの力がかかり、口腔の細菌にさらされ歯周病と同じ、インプラント周囲炎になる場合があります。それを防ぎ、長く使って頂くためには上記のメインテナンスが不可欠です。当医院では安心のため、インプラントがインプラント周囲炎になり、もし脱落した場合も10年以内は保証しており、無料で再埋入いたしますのでご安心ください!
河原町歯科・矯正歯科クリニック
~著者~
院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと
■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士