歯医者が怖い子どもへの対応方法|無理に治療しない方がいい? 2026年2月2日 河原町歯科・矯正歯科クリニック 子どもが歯医者を怖がって泣いてしまうと、「このまま治療しなくて大丈夫?」「無理にでも終わらせた方がいいのでは?」と不安になる保護者の方も多いのではないでしょうか。しかし、子どもにとって歯医者は、大人が想像する以上に不安や恐怖を感じやすい場所です。 この記事では、子どもが歯医者を怖がる理由や歯医者が怖い子どもへの正しい対応方法について、小児歯科の考え方をもとにわかりやすく解説します。 1. 子どもが歯医者を怖がる主な理由 子どもが歯医者を怖がるのは、決して「わがまま」や「我慢が足りない」からではありません。そこには子どもなりの不安や理由があり、それを理解することが無理のない治療につながります。 ・音・におい・雰囲気への恐怖歯科医院には、機械音や独特のにおいなど、子どもにとって慣れない刺激が多くあります。「何をされるかわからない場所」と感じることで、強い緊張や恐怖心を抱いてしまうことがあります。 ・口の中を触られる不安口の中はとてもデリケートな場所です。見えないところに器具を入れられたり、口を開け続けたりすることに不安を感じ、「痛いのでは」と想像が膨らむ子どもも少なくありません。 ・過去の痛い・怖い経験過去に痛みや恐怖を感じた経験があると、その記憶が強く残り、「歯医者=怖い場所」と認識してしまうことがあります。本人が覚えていなくても、無意識に影響している場合もあります。 ・親の緊張や声かけが影響することも子どもの不安は、親の態度や言葉からも伝わります。「痛くないよ」「すぐ終わるよ」といった声かけが、かえって恐怖を想像させてしまうこともあります。 2. 無理に治療しない方がいいって本当? 「泣いて嫌がっているけれど、このまま治療しないで大丈夫?」「無理にでも終わらせた方がいい?」と悩む保護者の方は少なくありません。結論から言うと、子どもの状況によっては、無理に治療を進めない方が良い場合もあります。ただし、それは決して「何もしない」「放置する」という意味ではありません。 無理やり治療することのデメリット ・歯医者嫌いが強くなる押さえつけられたり、強い恐怖を感じたまま治療を受けたりすると、「歯医者=怖い」「絶対に行きたくない場所」という印象が強く残ってしまいます。一度ついた恐怖心はなかなか消えず、その後の通院のたびに強い抵抗を示す原因になることもあります。 ・将来の通院が困難になる無理な治療によって歯医者嫌いが定着すると、成長してからも通院を避けるようになり、結果として虫歯や歯周病を悪化させてしまうケースもあります。 すぐ治療が必要なケース ・痛み・腫れ・感染がある場合歯の痛みが強い、歯ぐきが腫れている、膿が出ているなど、感染が疑われる場合は、早急な治療が必要です。このようなケースでは、痛みを和らげる処置や応急対応を優先し、子どもの負担をできるだけ減らしながら治療を進めます。 3. 歯医者が怖い子どもへの正しい対応方法 歯医者を怖がる子どもに対して大切なのは、「早く治療を終わらせること」ではなく、安心して歯科医院に通える気持ちを育てることです。無理のない関わり方が、結果的にスムーズな治療につながります。 ・まずは「慣れる」ことを優先する歯医者が怖い子どもには、いきなり治療を始める必要はありません。まずは歯科医院という場所や雰囲気に慣れることが大切です。・診療台に座るだけ・スタッフとあいさつをする・お口を開ける練習をするこのような小さなステップでも、子どもにとっては大きな一歩です。「今日はここまでできたね」と成功体験を積み重ねることで、恐怖心は少しずつ和らいでいきます。 ・段階的に進める小児歯科の考え方多くの小児歯科では、Tell-Show-Do(テル・ショー・ドゥ)という考え方を大切にしています。・見る(Tell)・触る(Show)・使う(Do)いきなり器具を使うのではなく、「何をするのか説明する」「実際に見せる」「納得してから行う」という順番を踏むことで、子どもの不安を減らします。「知らないこと」への恐怖を減らすことが、歯医者嫌いを防ぐポイントです。 ・子どものペースを尊重することが大切怖がり方や慣れるスピードは、子ども一人ひとり違います。無理に進めるよりも、子どもの表情や反応を見ながらペースを合わせることが、結果的に治療をスムーズに進める近道になります。 4. 親ができるサポートとNG行動 子どもが歯医者をどう感じるかは、親の関わり方にも大きく左右されます。何気ない一言が、不安を和らげることも、逆に強めてしまうこともあります。 ・治療前の声かけで気をつけること「痛くないよ」「すぐ終わるよ」という言葉は、かえって不安を連想させることがあります。「先生にお口を見てもらおうね」「困ったら教えてね」など、事実を伝えつつ安心感のある声かけがおすすめです。 ・ご褒美・約束の使い方治療後のご褒美は励みになりますが、条件にしすぎるとプレッシャーになることも。結果よりも「頑張ろうとしたこと」「挑戦できたこと」をしっかり褒めてあげましょう。 ・嘘や脅しが与える影響「削らないよ」「泣いたら怒られるよ」といった嘘や脅しは、信頼関係を壊す原因になります。正直で落ち着いた対応が、子どもの安心と歯医者への信頼につながります。 当院で大切にしている子どもへの対応 歯医者が怖いと感じる子どもにとって、最初の歯科体験はとても大切です。当院では、「今すぐ治療を終わらせること」よりも、将来も安心して通える気持ちを育てることを大切にしています。 ・無理に治療を行わない当院では、子どもが強い恐怖や不安を感じている状態で、無理に治療を進めることはありません。押さえつけたり、泣いたまま処置を行ったりすることで、歯医者嫌いが強くなってしまう可能性があるからです。お口の状態や緊急性をしっかり見極めた上で、「今できること」「今は見守ること」を判断し、子どもにとって無理のない治療計画を立てています。 ・段階的な診療で「歯医者に慣れる」ことを重視初めての来院や、歯医者が苦手なお子さまには、段階的な診療を行います。・診療室に入る・診療台に座る・お口を開けてみるこのようなステップを大切にし、「できた」という成功体験を積み重ねていきます。小児歯科で大切にされている「見る→触る→使う(Tell-Show-Do)」の考え方を取り入れ、子どもが納得した上で進める診療を心がけています。 ・泣いてしまっても大丈夫な環境づくり歯医者で泣いてしまうのは、決して珍しいことではありません。当院では、「泣いた=ダメ」と考えることはなく、泣いても大丈夫な場所であることを大切にしています。不安な気持ちを受け止めながら、無理のないタイミングで関わることで、少しずつ安心感を育てていきます。子どもの気持ちに寄り添うことが、結果的に治療の成功につながると考えています。 ・親御さんへの丁寧な説明と共有治療の進め方やお口の状態については、親御さんにもわかりやすく丁寧にご説明します。「なぜ今日は治療をしないのか」「次にどんなステップを考えているのか」をしっかり共有することで、不安や疑問を残さないようにしています。ご家庭での声かけや関わり方についてもアドバイスを行い、歯科医院とご家庭が同じ方向を向いてサポートできる体制を大切にしています。 6. まとめ 歯医者を怖がる気持ちは、どのお子さまにも起こりうる自然なものです。無理をせず、お子さまの気持ちやペースを大切にしてくれる歯科医院で治療をすることで、「歯医者は怖いところ」という印象が、少しずつ和らいでいくこともあります。もし歯医者が苦手なお子さまがいらっしゃる場合は、まずは慣れることから始められる歯科医院に相談してみるという選択も一つです。 ▽河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言! お子さまのお口の健康を守るうえで大切なのは、治療の結果だけでなく、歯科医院との関わり方そのものです。幼少期に歯科医院で過ごした時間や雰囲気は、その後の通院に対する印象に少なからず影響します。昔は治療を優先するあまり、押さえつけたりレストレーナーと呼ばれるネットを使用して処置を行うことも少なくありませんでした。現在では上記のように歯科医院という場所や道具、人物に慣らしてから治療を行うという待時的な治療に変わっています。 当院でもお子さま一人ひとりの性格や反応を丁寧に見極め、「今日はここまでできた」という小さな成功体験を積み重ねながら、安心して通える環境づくりを大切にしています。また親御さんの不安や疑問を残さないよう、治療内容や進め方をわかりやすくご説明し、ご家庭と歯科医院が同じ方向を向いてお子さまを見守れる体制を整えています。お家でも叱る時に「歯医者に連れて行くよ!」はやめて頂いて(笑)、親、子供、歯科スタッフ、歯科医師の連携で頑張ってまいりましょう。 歯科医院が「怖い場所」ではなく「安心して通える場所」になるよう、これからも丁寧な診療を続けてまいります。 河原町歯科・矯正歯科クリニック ~著者~ 院長/矯正担当医(歯学博士)江口 公人えぐち きみひと ■ 経歴・資格・所属学会等1988年 徳島大学歯学部卒業日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医日本口腔インプラント学会会員インプラント認証医日本矯正歯科学会SJCD所属会員KIRG準会員歯学博士