インビザラインの食事や飲み物に関する注意点

インビザラインは、透明なアライナーを使用して歯並びを整える最先端の矯正治療法です。見た目が目立たず、取り外しが可能で、日常生活に大きな支障を与えないため、多くの方に選ばれています。

しかし、インビザライン治療中には食事や飲み物に関して注意が必要なため、こちらで食事や飲み物に関する注意点をまとめて解説したいと思います。

1.インビザラインの基本知識

インビザラインの治療は、個々の患者さまに合わせたカスタムメイドのアライナーを用いて歯を少しずつ動かしていく治療法です。以下のポイントを押さえておきましょう。

・アライナーの設計:インビザラインは3Dデジタル技術を用いて設計され、患者さまの歯型をもとに制作されます。そのため、治療の進行は個々の状況に応じて異なりますので担当医と念入りに事前の擦り合わせを行いましょう。
・装着期間:一般的に1つのアライナーは1〜2週間装着し、その後新しいアライナーに交換していきます。このサイクルを繰り返すことで、理想的な歯並びに近づいていきます。
・装着時間:1日20〜22時間の装着が推奨されており、定期的にチェックアップを受けることが重要です。

2.食事時の注意点

①食事の際には装着しているアライナーを外す
アライナーはその特性上、食事の際には必ず外していただくことを推奨しています。
・損傷や変形の回避:硬い食べ物や温かい食べ物を噛むことで、アライナーが割れたり、形を失ったりするリスクがあります。特に、ナッツ、氷、硬いキャンディについて注意が必要です。
・衛生状態の問題:食べ物や飲み物がアライナー内に残ると、歯の健康に影響を与え、虫歯や歯周病のリスクを高める可能性があります。

②食後の適正なケア
食事が終わったら、以下のようなケアを行うことが重要です。
・歯磨きのタイミング:理想的なタイミングは食後30分以内ですが、酸性の飲食物を摂取した場合は、少し時間を置くことが推奨されます。

・適切な磨き方:軽く上下左右にブラシを動かし、外側や内側はもちろん、咬合面(噛む面)の磨き残しにも注意を払うことが必要です。
・適切な歯磨き粉:フッ素が含まれた歯磨き粉が特に効果的です。フッ素は歯を強化し、虫歯予防の助けになります。

・デンタルフロスの使用:アライナーの装着前、デンタルフロスを使うことで、歯の隙間に詰まった食べかすを取り除くことができます。特に、硬い食品を食べた後にデンタルフロスを使うことをお勧めします。

3.避けるべき食べ物

①硬い食べ物
・ナッツ類:アーモンド、くるみ、ピスタチオなどは硬いため、噛む際にアライナーに負荷がかかります。
・氷:噛む習慣がある方は特に注意が必要。氷はアライナーが割れる原因ともなるため控えた方が良いでしょう。
・硬いキャンディ等:硬いキャンディ(例えば、ミントキャンディやロリポップ)はアライナーにクラッシュを引き起こすことがあります。

②粘着性のある食べ物
・キャラメルやグミ:非常に粘着性が高く、アライナーに付きやすいです。これにより、アライナーを適切に清掃することが難しくなるため注意が必要です。
・ピーナッツバター:粘土の高い食べ物は食べる際に歯の隙間につまりやすく、除去が難しいためおすすめしません。

③色がつく飲み物
・コーヒーや紅茶:色素が強いこれらの飲み物は、アライナーに着色し、見た目が悪くなる原因になります。
・赤ワインや濃いソース:赤ワイン、トマトソース、カレーなども同様に色素が強く、アライナーの汚れや色変わりを引き起こす要因となります。

4.飲み物の選択

①基本的には水がベスト
食事やアライナー装着中は、負荷や影響の少ない水を選ぶことが推奨されます。
水は口の中を潤し、洗浄効果もあるため、衛生面にも優れています。特に、以下の点を考慮してください。

・常温または冷水:熱い飲み物はアライナーに影響を与えることがあるため、常温か冷たい水を選ぶことをお勧めします。
・フレーバー水:人工甘味料や添加物を含まないフレーバー水は悪影響が少なく、上手に水分補給ができます。

②糖分を含む飲み物を回避
・炭酸飲料やエナジードリンク:これらは糖分が多く、虫歯リスクを高めるだけでなく、歯を痛める原因となります。治療中はできる限り避けましょう。
・果汁ジュース:自然な果汁でも高糖分が含まれているため、食後には水に切り替えることが理想的です。

5.食事とアライナーの交換タイミング

①推奨装着時間
治療の効果を最大化するためには、アライナーは1日20〜22時間装着することが重要です。これは、アライナーが歯に持続的な圧力をかける時間を確保するためで、食事のあとは忘れず再装着をしましょう。

②アライナーの着脱サイクル
アライナーは通常は1〜2週間ごとに新しいものに交換します。そのため、食事のタイミングを考慮して、適切に準備を整えることが求められます。また、新しいアライナーに交換した際は、装着初期に違和感があることもありますが、これは正常な反応ですので、一時的なものと考えましょう。

6.インビザラインの食事や飲み物に関する注意点のまとめ

インビザライン治療中には、食事や飲み物に関して多くの注意点がありますが、それを守ることで健康的で効果的な治療が可能になります。アライナーを外して食事をし、食後に適切なケアを行うことで、口腔内の衛生状態を良好に保ちながら、素晴らしい歯並びを手に入れることができます。

毎日の小さな気遣いが、長期的には大きな成果に繋がるためインビザライン治療を考えている方は、この記事を参考にして、食事や飲み物に対する理解を深め、より良い治療体験を得てください。

理想的な笑顔を手に入れるための第一歩を踏み出しましょう。
新しいアライナーを装着するたびに、美しい歯並びに近づいていることを実感し、楽しみながら治療を進めてください!

▽河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!

インビザラインを含むマウスピース矯正を始められる際に一番気になるのがこの飲食時の取り扱いだと思います。出来たらそのまま食べたり飲んだりできれば楽なのですが、やはり虫歯やマウスピースの破損の原因になってしまいます。
しかし、実際の患者様からは「減らせなかった間食が減った」「自分の選ぶ飲み物の種類やお菓子の種類を考えるようになった」「おやつもダラダラ食べでなく、時間を決めておやつタイムを作れるようになった」など、制限があるからこその、飲食に対しての見直しができたというお声も聞きます。
マウスピースの矯正治療はもしかしたら、歯並びだけでない生活習慣の改善というメリットもあるかもしれませんよ!
頑張りましょう!

河原町歯科・矯正歯科クリニック

~著者~

院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと

■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士