インビザラインとは?
インビザラインは、金属ブラケットやワイヤーを使用しない、透明なプラスチック製のアライナーを使用した歯列矯正法です。このアライナーは患者一人ひとりの歯型に基づいてカスタムメイドされ、計画された歯の動きを段階的にサポートします。1998年にアラインテクノロジー社によって開発され、今日では世界中で使用されています。インビザラインは、主に成人や仕事中に矯正器具を見せたくない学生に人気があります。また、矯正中でも取り外しが可能なため、食事や歯磨きを通常通り行えることが大きな利点です。
インビザラインの装着期間に影響する要素
1. 矯正の目的と歯並びの状態
インビザラインを使用する目的は、軽度な歯の重なりや、間隔が空いている場合の矯正から、より複雑な不正咬合まで多岐にわたります。例えば、軽度なケースでは6ヶ月から1年で治療が終わることがあります。
一方、複雑な不正咬合や噛み合わせの問題を解決するには、12ヶ月から18ヶ月以上を要することもあります。初診時に歯科医師が行う診断では、歯の移動計画の立案に3D撮影を用いることが多く、それに基づいて治療期間が見積もられます。
2. 患者の年齢
歯の動きには個人差があり、実は年齢もその一因のひとつです。
一般に若年者、特に10代から20代前半の患者では骨の柔軟性が高いため、歯が比較的早く動く傾向があります。対して、大人になると骨が固まってしまうため、同じ範囲の歯列移動にはより長い期間が必要です。ただし、年齢ばかりでなく、歯根や歯肉の健康状態も重要な要素となります。
3. 患者の協力
インビザラインの効果を最大限に引き出すためには、患者さま自身の装着時間の管理と協力が求められます。1日あたり20時間程度の装着が推奨されていますが、この指示を守らないと歯の動きが計画通りに進まない可能性があり、結果的に治療期間が延びてしまいます。
患者の自己管理能力が治療成功の鍵を握っているといっても過言ではありません。
インビザラインの治療ステージ
1. 初診・カウンセリング
まず、最初のステップは歯科医師による初診とカウンセリングです。
ここでは患者さまの口腔内の状態を詳しく評価し、X線撮影やデジタルスキャンを行います。これにより、歯の現状を3D画像で表示するとともに、将来の歯列をシミュレーションします。歯科医師はこの情報を基に、詳細な治療計画とおおよその治療期間を示します。
2. アライナーの製作
カウンセリングの結果を基に、患者専用のアライナーが製作します。
アライナーの作成には最先端のデジタルテクノロジーを用い、精密にフィットするように設計されています。この過程には2〜3週間かかることが一般的です。製作されたアライナーは、患者の現在の歯並びに応じた段階別のセットとなり、次々と交換しながら使用します。
3. 装着と調整
担当医との治療計画に従い、アライナーが患者に装着されます。
アライナーは約2週間ごとに次のものに交換し、歯を少しずつ動かしていきます。この間、患者は約6〜8週間ごとに歯科医の定期検診を受け、進捗状況を確認します。必要に応じて調整が行われ、計画に沿って治療が進められます。
インビザラインの推奨装着時間
インビザラインの効果を最大化するために、1日約20時間程度の装着が推奨されています。この装着時間の重要性について詳しく説明します。
1. 歯の移動を促す
アライナーを長時間装着することにより、矯正する歯に矯正方向へ持続的な力を与え、計画通りに動かすことが可能になります。アライナーは2週間ごとに交換されるため、毎日装着時間を守ることで、歯の動きを段階的に進めることができます。これにより、治療完了までの期間をできるだけ短く保つことができます。
2. トラブルの軽減
装着時間を守らない場合、アライナーが正しくフィットしなくなる可能性があります。これにより治療計画にずれが生じ、アライナーの交換に影響を与えることもあります。定められた装着時間を守ることで、必要以上の来院を避け、治療を円滑に進めることができます。
インビザラインの装着期間中の注意点
1. メンテナンスと衛生管理
アライナーは食事の際に外すことができますが、食事後は装着前に歯磨きとアライナーの洗浄を行うことで、口腔内とアライナーの清潔を維持します。特に、糖分や酸が付着したままの状態でアライナーを装着すると、虫歯や歯肉の炎症のリスクが高まります。専用の洗浄剤や柔らかいブラシを使用することをお勧めします。
2. 食事とアライナーの取り扱い
アライナーはほんの少しの圧力で少しずつ歯を移動させる器具のため、食事中の衝撃で破損する可能性があります。食事の際は必ずアライナーを外し、専用ケースに入れて保管することで紛失や破損を防ぎます。食事後の着用前には必ずアライナーを洗浄し、口内も清潔にします。
3. 定期検診の受診
定期的に担当医の検診を受けることは、計画通りに治療を進めるために不可欠です。歯科医師は治療の進捗を確認し、必要に応じた調整を行います。アライナーのフィット感に異常がある場合や、計画通りに進んでいないと判断された場合、次のステップに進む前に迅速な対応が求められます。
コンプリケーションとその対処
1. アライナーの適合不良
アライナーが適切にフィットしない場合は、すぐに担当医に相談することが重要です。アライナーが浮いたり、フィットしない状態で使用を続けると、歯の移動が計画通りに進まず、治療期間が延びる原因となります。適合不良は、再度アライナーを製作することで改善されることが一般的です。
2. 痛みや不快感
治療の初期や新しいアライナーに交換した際、歯や歯肉に圧力がかかることによって痛みや不快感を感じることがあります。通常は数日で慣れる場合が多いですが、痛みが続く場合や強い場合は鎮痛剤を使用するか、担当医に相談してください。
3. アライナーの破損または紛失
アライナーが破損したり紛失した場合、可能ならば直前のアライナーを装着し、すぐに歯科医に連絡してください。新しいアライナーを製作するか、次のアライナーに進むかの判断を一緒に行います。この際にも、継続的な装着時間をできるだけ守ることが重要です。
インビザラインの装着期間を短縮するための工夫
治療時間を効率的に短縮するためには、以下の点に留意する必要があります。
1. 指示通りの装着時間を守る
治療計画に基づく装着時間を厳守することで、計画通りに歯が移動します。自己管理の徹底が、最も効果的に治療期間を短縮する方法です。夜間の睡眠中も装着することが重要です。
2. お口のケアを徹底する
適切なオーラルケアにより歯や歯肉を健康に保つことで、治療開始前や治療中に、歯科医が進捗確認以外での治療を行う機会を減らすことができます。歯磨きは少なくとも1日2回、特に食後は必ず行うよう心掛けましょう。
3. 定期的に経過を確認する
治療経過が計画通りかを自分でも確認し、何か問題を感じた場合はすぐに担当医に連絡します。早めの対処により、治療期間の延長を防ぐことができます。特にアライナーのフィット感には細心の注意を払い、不自然なずれを感じたら報告することが大切です。
いかがでしたでしょうか?
インビザラインの治療期間は、個々の歯並びの初期状態や治療ニーズに応じて異なりますが、一般的には6ヶ月から18ヶ月ほどで完了します。
患者さまの協力や日々の装着時間の管理が、治療の効果を最大限に引き出し、計画された治療期間内での終了を可能にします。患者が日々のケアと定期検診を欠かさず行うことで、計画通りに進み、より早く理想的な歯並びを手に入れることができるでしょう!
▽河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!
インビザラインは上述の通り、装着時間が一番大事です。
どんな治療計画も装着して頂かなければ台無しになってしまいます。
また、よくあるのが、装着時間が短いけれどマウスピースが入っているから大丈夫と思っていることです。
主治医が見るとマウスピースのフィットが甘くなっているのは一目瞭然なので、ごまかしは効きません。
治療を早く終わらせたければ、装着時間と装着方法をしっかり守ることが肝要です。
もう一つ言っておきたいことは、同じインビザラインでもDrによって治療計画は一緒ではないという事です。
経験の多い医院はそれに応じてオリジナルのやり方を持っています。それも治療期間と治療の質に大きく関係してきます。
矯正は一生に何回もはしませんので、簡単に、安く、早くよりも、しっかりした治療と長持ちが重要だと思います。
河原町歯科・矯正歯科クリニック

~著者~
院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと
■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士