子どもが歯磨きを嫌がって困っている…そんな悩みを抱える親御さんは少なくありません。
歯磨きはむし歯予防だけでなく、将来の歯並びやお口の健康を守るためにも欠かせない習慣です。
しかし、無理に歯磨きをしようとすると、かえって「歯磨き=イヤなこと」と思わせてしまい、余計に嫌がる原因になることもあります。
そこで本記事では、子どもが歯磨きを嫌がる主な理由と、親子で楽しく取り組める具体的な対策についてわかりやすくご紹介します。
1. 子どもが歯磨きを嫌がる主な理由
子どもが歯磨きを嫌がるのには、いくつか共通した原因があります。
まずは理由を知ることで、より適切な対応ができるようになります。
・口の中を触られるのが不快
小さな子どもにとっては、自分の口に物を入れられること自体がストレスになることがあります。
・歯ブラシの硬さや形が合わない
毛先が硬すぎたりサイズが合わなかったりすると、痛みや違和感につながりやすいです。
・歯磨き粉の味や泡立ちが苦手
ミントの刺激や泡の多さを嫌がる子も多く、歯磨き粉自体が苦手意識につながることもあります。
・遊びや他のことに気を取られる
遊びたい気持ちが強いと、歯磨きに集中できず嫌がることがあります。
「歯磨き=怒られること」と結びついている
磨かないと叱られる、無理に押さえつけられるなどの経験があると、歯磨きが嫌な記憶として残ってしまいます。
2. 子どもの歯磨きを嫌がらないための対策
子どもが歯磨きを嫌がるときには、無理に押さえつけてしまうのではなく、「楽しい習慣」に変えていく工夫が大切です。
ここでは、ご家庭で今日から取り入れられる具体的な対策をご紹介します。
・歯ブラシや歯磨き粉を選ぶ工夫
子どもの年齢や好みに合った歯ブラシを選ぶことが、歯磨き嫌いを防ぐ第一歩です。
毛先がやわらかく、小さめのヘッドを選ぶと磨きやすくなります。
また、キャラクター付きの歯ブラシや、フルーツ味の歯磨き粉を取り入れると「使いたい!」という気持ちを引き出せます。
・歯磨きを「遊び」に変える
「歯磨き=楽しい時間」と思える工夫を取り入れると効果的です。
歯磨きの歌を流しながら磨いたり、歯磨きアプリや絵本を活用したりすると、遊び感覚で取り組めます。
また「歯をピカピカにしよう!」とゲームのように声かけするのもおすすめです。
・親子で一緒に取り組む
親が楽しそうに歯を磨いている姿を見せることも大切です。
鏡の前で一緒に磨くと、子どもは真似をして取り組みやすくなります。
兄弟姉妹がいる場合は「みんなで磨こうね」と誘うと、自然と歯磨きが日常の流れに組み込まれていきます。
・無理強いせずポジティブな声かけ
嫌がる子どもに力ずくで歯磨きをするのは逆効果です。
短時間で終わらせる工夫をしながら「できたね!」「上手に磨けたね!」と褒めてあげましょう。
ポジティブな体験が積み重なることで、歯磨きへの抵抗感は次第に減っていきます。
3. 仕上げ磨きの重要性とコツ
子どもが自分で歯を磨けるようになるのは、小学校中学年ごろが目安といわれています。
それまでは、親による「仕上げ磨き」が欠かせません。
特に乳歯はエナメル質が薄く、むし歯が進行しやすいため、毎日の仕上げ磨きでしっかり守ることが大切です。
仕上げ磨きをスムーズに行うためには、以下のような工夫がおすすめです。
・短時間でサッと磨く:嫌がる前に終わらせることを意識しましょう。
・体勢を工夫する:膝枕での「寝かせ磨き」やソファやベッドにリラックスして寝かせて磨くと安定しやすくなります。
・楽しい雰囲気にする:歌を歌いながら数を数えるなど遊び感覚を取り入れましょう。
・ライトや鏡を活用:小さな口の中も見やすく、磨き残し防止になります。
仕上げ磨きは「親子のスキンシップの時間」として前向きに取り組むことが、子どもの歯磨き習慣を育てる大きなポイントです。
4. 歯科医院でのサポートも活用しよう
「子どもが歯磨きを嫌がる」問題は、ご家庭だけで抱え込む必要はありません。
歯科医院ではむし歯予防の専門的な処置に加え、嫌がり対策のコツや道具の選び方、仕上げ磨きの姿勢まで具体的にアドバイスしてもらえます。
プロの力を取り入れることで、家庭の負担をぐっと減らし、親子の歯磨き時間を前向きな習慣に変えていきましょう。
・定期検診のメリット
定期検診では、乳歯のむし歯や歯ぐきのトラブルを早期に発見できるのはもちろん、染め出しを使って磨き残しを「見える化」することができます。
こうして親子で一緒に磨き方を振り返ることで、日々の歯磨きがスムーズになります。
通院の目安はおよそ3〜4か月に1回。
生活習慣やリスクに応じて、担当医と相談しながら最適な間隔を決めていきます。
・予防処置で安心をプラス
歯科医院では、家庭のケアを補う予防処置も受けられます。
たとえばフッ素塗布で歯を強くしたり、シーラントで奥歯の溝をコーティングして食べかすを防いだりすることが可能です。
さらに、プロによるクリーニングで歯の表面をツルツルに整えると、むし歯菌の付着を抑えられます。
これらを組み合わせることで、歯磨きを嫌がる時期でも安心感が高まります。
・ブラッシング指導(TBI)
お子さん一人ひとりに合わせたブラッシング指導も歯科医院ならでは。
ヘッドの大きさや毛の硬さ、歯磨き粉の味など、その子に合う道具を提案してもらえます。また、膝の上での寝かせ磨きや、ライト・手鏡の使い方など、仕上げ磨きの実演も受けられます。
嫌がったときの声かけや時間の工夫など、親御さんと一緒に取り組めるのも安心です。
・歯並びやお口の機能チェック
歯磨きの苦手さの背景に、お口の機能や呼吸のクセが隠れていることもあります。
6歳臼歯や前歯の生え替わり時期には特に注意が必要です。
口呼吸や舌癖、指しゃぶりなどが見られる場合は、口腔筋機能療法(MFT)や生活習慣の改善が役立ちます。
必要に応じて耳鼻科などと連携し、総合的にサポートを受けられるのも歯科医院の強みです。
・「慣らし通院」で歯医者嫌いを防ぐ
小さなお子さんの場合は、いきなり治療を始めるのではなく「慣らし通院」からスタートすることも可能です。
器具を見せて触れさせ、少しずつ体験を積み重ねることで、歯科医院が“怖い場所”ではなく“できた体験を積む場所”になります。
5. まとめ
子どもが歯磨きを嫌がるのは、多くのご家庭で直面する自然な姿です。
しかし、無理に押さえつけて磨くのではなく、道具の工夫や遊びの要素を取り入れることで、「歯磨き=楽しい時間」へと変えていくことができます。
また、自分磨きだけでは不十分なため、小学校中学年くらいまでは仕上げ磨きがとても重要です。
短時間で終わらせたり、膝枕でリラックスしながら行ったりと、親子のスキンシップの時間として前向きに取り入れていきましょう。
それでも「どうしても嫌がって困っている」という場合には、歯科医院でのプロのサポートを活用するのもおすすめです。
定期検診やフッ素塗布、仕上げ磨きのコツのアドバイスなど、家庭だけでは難しい部分を一緒にフォローしてもらえます。
歯磨きはむし歯予防だけでなく、将来の歯並びやお口の健康にもつながる大切な習慣です。
親子で楽しく前向きに取り組み、笑顔あふれる歯磨きタイムを育てていきましょう。
▽河原町歯科・矯正歯科クリニックの専門医より一言!
お子様が小さい時は、色々とされるのを嫌がって当たり前ではあります。
通院している子供でも大人しいお子様もいればやんちゃなお子様もいらっしゃいます、それぞれが個性を持っているので対応は千差万別です。
しかし、焦りは禁物で年齢を重ねる程に、話が分かるようになり、自分の行動で何が変わるかがわかるようになり、やんちゃな子も分別のつくようになりあっというまに出来るようになります。
3歳までに歯ブラシを嫌がるお子さんには上記のようにおもちゃみたいに慣れさせることが重要ですが、しっかり歯ブラシが出来るようになるまで虫歯の出来にくい虫歯菌の少ない口腔内作りが重要になってきます。
ポカリスエットなどの糖分の入った飲料水、お菓子類、を可及的に少なくする。
親御さんの使ったスプーン等を共有しない。
等の注意をしてあげてください。
生まれた時は虫歯菌はない状態ですので・・・
河原町歯科・矯正歯科クリニック

~著者~
院長/矯正担当医(歯学博士)
江口 公人えぐち きみひと
■ 経歴・資格・所属学会等
1988年 徳島大学歯学部卒業
日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医
日本口腔インプラント学会会員
インプラント認証医
日本矯正歯科学会
SJCD所属会員
KIRG準会員
歯学博士